公開日: 2021年04月26日
更新日:

不動産の相続トラブルと弁護士に相談するメリット

不動産相続 弁護士

本コラムでは、不動産と相続に絡む問題として

  • 遺産に不動産がある場合にどのようにすればよいか
  • どのような場合に相続トラブルが発生するか
  • 相続トラブルが発生した場合、弁護士に相談するとどのようなメリットがあるのか

についてご説明いたします。
【関連リンク】取扱分野|不動産

1.不動産に関するよくある相続トラブルのパターン

不動産は、現金や預貯金などのように単純な分割ができません。
相続人間で同じ不動産の取得をめぐり争う場合もありますし、不動産を取得したいと主張する人・不動産を売却(破棄)するべきであると主張する人とで意見が割れる場合もあります。

このように、不動産の遺産分割は当事者の利害が絡み複雑化することが多く、遺産分割の方法について揉めてしまうことも多くあります。

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まずは、不動産の相続で揉めやすい主なパターンを5つご説明いたします。

1-1.不動産の分割方法で揉める

不動産が遺産に含まれる場合の分割方法としては、不動産を分筆等して物理的に分ける方法(現物分割)・不動産を取得する相続人が他の相続人に別の財産を与えるなどで代償金を支払い埋め合わせする方法(代償分割)・不動産を売却して現金化し現金を分割する方法(換価分割)などがあります。

このうち、どの方法をとるかについて揉めることが少なくありません。
遺産に占める不動産の価値が大きくなるほど、各相続人が取得する遺産の額が大きく左右されるため、揉める可能性も高くなります。

また、不動産を相続人で共有にする方法もあります。しかし、不動産を共有状態にすると、売却や賃貸について他の共有者の同意を得なければならず、賃貸や売却が困難になるケースが発生します。
共有者同士の息が合っていればまだしも、そうでない場合には共有物を分割する争いが発生する可能性があります。

1-2.複数の相続人が同じ不動産の取得をめぐり争う

実家を相続する場合など、複数の相続人が同じ不動産をめぐり取得を争うケースも多いです。
代償分割をするにしても、誰が当該不動産を取得するかという点について揉めることでしょう。

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それ以外で考えられる解決方法として、その不動産を現物分割する方法があります。
しかしながら、現物分割では、広大な不動産や分割しやすい形状の不動産ならばまだしも、そうでない場合に同じ不動産を現物分割したところで、その後の有効活用が難しいことがあります。

そこで不動産を相続人間で共有することが考えられますが、前述のとおり不動産を共有にするとトラブルが多く、なるべく避けた方が無難です。

そうすると不動産を売却して現金を分割する方法を検討することになりますが、思い入れのある不動産であっても手放さなければならないのは本末転倒でしょう。
また、手間・時間がかかる上に、売却代金に譲渡所得税が課税される可能性もあります。

1-3.不動産の価値評価について意見が分かれる

代償分割の場合には、不動産を取得する相続人としては、不動産を安く評価した方が支払う代償金が安く済みます。
一方、代償金をもらう側の相続人の場合は、不動産を高く評価した方が代償金が高額になります。

不動産の価値については固定資産評価額・路線価・時価評価等を用いるなどして相続人間の合意を図ることになりますが、不動産を相続する相続人とそれ以外の相続人で、価値評価に関する意見が分かれやすいです。低く評価したい側と高く評価したい側で利害関係が対立するのです。

1-4.誰も不動産を相続したくない

田舎の山林や空き家など、有効活用の方法が見いだせない不動産については、誰も相続したくない場合があります。また、売却したくても、売却先がなかなか見いだせない場合もあります。市町村に寄付できるときもありますが、それすらできないこともあります。

その場合は、相続放棄をするのも一つの方法です。

相続放棄をした場合、当初から相続人でなかったものとみなされますので、不要な不動産や買い手の見つからない不動産の相続から解放されます。しかし、相続放棄をしない他の相続人がその不動産を相続することになり、他の相続人は自らも相続放棄をするか否か検討する必要がでてきます。

この結果、相続人全員が相続放棄をした場合、相続財産管理人の選任申立を検討する必要がありますが、相続財産管理人にはそれなりの報酬がかかりますので、この費用を捻出する必要が生じるでしょう。相続放棄を行うか否かについても慎重に検討する必要があります。
相続放棄をしても相続人は土地の管理義務を負いますので、通常は相続財産管理人を選任します。)

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1-5.相続税の納税資金が確保できない

不動産の価値は高いため、相続した人に多額の相続税が課税されることがあります。

相続税は現金による一括納付が原則ですので、生前に換価しにくい資産を売却したり、生命保険を活用したり、生前贈与を受けるなどして、相続税の納税資金を確保するための方策を考えておく必要があります。

どうしても納税資金を確保できない場合には、金融機関から借り入れをし、また不動産の売却を検討することもやむを得ない方法であると考えます。

2.不動産に関する相続トラブルを弁護士に相談するメリット

このように、不動産の相続は現金・預金と異なり単純に分割することができず、手続も複雑です。また、当事者間の利害の対立も深刻なケースが多いため、相続の経験豊富な弁護士に相談することがおすすめです。

不動産に関する相続トラブルを弁護士に相談するメリットをまとめると、以下の通りです。

2-1.複数の分割方法を比較・検討してもらえる

不動産に関する相続トラブルを弁護士に相談するメリットの第一は、第三者的な立場からどのような分割方法を行えば適切なのかアドバイスを受けられることです。

前述のとおり、不動産の遺産分割の方法として、現物分割・代償分割・換価分割がありますが、それぞれの分割方法のメリット・デメリットを比較し、相続人のニーズに合った分割方法についてアドバイスを受けられることが期待できます。

2-2.遺産分割協議における交渉を依頼できる

遺産分割協議は当事者の利害が絡み複雑化することが多いのですが、弁護士に依頼すると、法的・客観的な視点から仲介役を務めることで、円満・迅速な遺産分割協議の成立が期待できるメリットもあります。
相続財産に不動産がある場合の遺留分の計算についてもしっかりと配慮してくれるでしょう。

相続事件は相続人同士の仲が悪かったり疎遠であったりすることも多いのですが、そのような場合には、他の相続人と直接交渉しなくてよい点も、精神的な負担軽減に繋がります。

2-3.弁護士を通じて不動産業者の紹介を受けることができる

前述のとおり、代償分割が行われる場合や不動産を含めた相続財産全体の配分を決める際には、遺産分割協議にあたって不動産の査定や評価が必要になることが多々あります。不動産の売却や評価を行う際には、不動産業者や不動産鑑定士との相談が必要になります。
また、遺産に不動産が含まれていると、相続登記をする際には司法書士のサポートが、相続税申告をする際には税理士のサポートが必要となることがあります。

そのような場合にも、弁護士に相談すれば各種隣接士業の紹介を受けることが可能です。

特に、相続登記は義務化されていますので、各分野の法律家のアドバイスは不可欠です。

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2-4.調停・審判に発展した場合にもスムーズに対応できる

遺産分割協議が紛糾して、裁判所外で遺産分割協議がまとまらないと、家庭裁判所に遺産分割調停を申立する必要があります。

調停やその後の審判に発展した場合であっても、弁護士に相談しておけばスムーズに調停や審判手続に移行することが可能になります。

3.不動産の相続について相談する弁護士選びのポイント

3-1.相続全般に関する対応実績

相続人の確定・相続財産の調査・遺産分割方法・調停・審判への対応等、相続全般をトータルでサポートできる弁護士が適任であると思われます。

弁護士を選任するにあたって、相続事件に対する対応実績がどの程度あるかは一つの指標になると思います。

3-2.不動産業者や隣接士業との連携の充実度

不動産の相続については、不動産業者や隣接士業との連携は欠かせません。

これらの業者との連携が充実した弁護士であれば、依頼者が自ら依頼先を探す必要がなく、たいへん便利です。

3-3.相談しやすさ

ご相談者の相談内容を丁寧に聞き取り、相談しやすい弁護士に依頼するのが良いです。
また、経済的事情に応じて依頼しやすい弁護士を選任するのが良いでしょう。

初回相談が無料であったり、着手金の分割払いが可能であったり、着手金・報酬金の配分調整をするなど、柔軟に対応してくれるケースもあります。

4.まとめ

以上のとおり、不動産の相続は、現金預金の相続と異なり単純に分割することができず、また隣接士業との連携が必要になる場合も多いため手続も複雑です。
当事者間の利害対立も深刻な場合が多いため、相続の経験がある弁護士に相談するメリットが大きいと考えます。

あるいは、借地権を相続してしまい、どうすれば良いか分からないといったケースもあるかもしれません。

あたらし法律事務所は、このような不動産相続に関して多数経験をしており、隣接士業とも連携しておりますので、ご相談いただければ幸いです。

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