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顧問弁護士と弁護士の違い|単発相談に適した場面と不適な場面

顧問弁護士と弁護士の違い|単発相談に適した場面と不適な場面

企業が弁護士に依頼する際には、主に「顧問弁護士」に依頼するパターンと「単発契約の弁護士」に依頼するパターンの2種類があります。

顧問弁護士の利用を検討している企業では、顧問弁護士と単発契約の弁護士とではどのような違いがあるのかが分からず、どちらを選択すれば良いかと迷われているかもしれません。

顧問弁護士と単発契約の弁護士とでは、それぞれ適した場面が異なってきますので、それらを理解したうえで最適な選択をすることが大切です。

今回は、顧問弁護士と単発契約の弁護士との違いについて解説します。

1.顧問弁護士とは?役割は?

顧問弁護士とは、継続的に顧問先企業からの相談を受け付け、法的問題を解決するために対処してくれる弁護士のことをいいます。

顧問弁護士は、いわば「企業のかかりつけ医」のような存在です。顧問弁護士は個人でも利用することができますが、一般的には企業が利用するケースが多いです。

顧問弁護士の役割としては、以下のものが挙げられます。

1-1.日常的な法律相談

企業が事業活動を行う際には、新規事業に関する法的検討、取引先との契約交渉、労務管理など、さまざまな法律問題に直面します。

日常的に発生する法律上の悩みを、その都度相談できるのが顧問弁護士です。

1-2.契約書のリーガルチェック

企業が取引をする際に欠かせないのが契約書です。契約書の内容次第では、自社に不利な取引になってしまったり、将来トラブルが発生したりする可能性もありますので、法的に問題ない契約書を作成することが重要になります。

顧問弁護士は、契約書のリーガルチェックを行うことにより、顧問先企業が損害を被るリスクを抑えることができます。

1-3.コンプライアンス研修

従業員による不祥事が発生すると会社のブランドイメージが失墜し、大きな損害を被るおそれがあります。そのような不祥事を回避するためには、定期的なコンプライアンス研修が必要になります。

顧問弁護士であれば、企業の実情に応じた内容のコンプライアンス研修を実施できますので、高い効果が期待できます。

1-4.トラブル発生時の対応

事業活動においては、取引先とのトラブルや労働者とのトラブルなど避けられないトラブルもあります。そのようなトラブルが発生した際に対応を誤ってしまうと、問題が深刻化し、被害が拡大してしまうおそれがあります。

顧問弁護士は、このようなトラブルが発生したとしても、迅速に対応することが期待できます。

2.顧問弁護士を依頼するメリット

顧問弁護士を利用することで、以下のようなメリットがあります。

2-1.いつでも気軽に相談できる

顧問弁護士は、面談相談以外に、メールや電話の相談にも対応しているケースが多いです。

法律事務所に相談の予約をしてから相談となれば、相談自体を躊躇してしまうかもしれません。しかし、顧問弁護士であれば、いつでも気軽に相談できますので、日常的な悩みをすぐに解消することができます。

2-2.優先的に対応してもらえる

顧問弁護士は、顧問先企業の相談やトラブル対応に優先的に対応してくれます。
すぐに対応してもらいたいときでも、顧問弁護士に相談・依頼をすれば迅速な対応が期待できます。

2-3.トラブルを予防できる

企業にとっては、トラブルが発生した後の事後対応よりもトラブルを未然に防止するという視点が重要になります。トラブルが発生してしまうと、弁護士が対応したとしても被害をゼロに抑えるのは難しいからです。

顧問弁護士であれば、日常的な法律相談やリーガルチェックなどにより、将来生じうるトラブルを未然に回避することが期待できます。

2-4.法改正などの情報をいち早く入手できる

法律は頻繁に改正がありますので、自社が関係する分野の法令についてはしっかりと理解して対応していく必要があります。

顧問弁護士であれば、顧問先企業に関係する法令に改正があった場合には、改正のポイントなどを整理して伝えてもらうことができます。

3.顧問弁護士と単発契約の弁護士との違い

企業が弁護士を依頼する際には、上記のような顧問弁護士ではなく、単発契約(スポット)の弁護士を依頼することもあります。
顧問弁護士と単発契約の弁護士とでは、どのような違いがあるのでしょうか。

3-1.費用

顧問弁護士は、相談やトラブル対応の有無にかかわらず、毎月一定額の顧問料の支払いが必要になります。
これに対して、単発契約の弁護士は、相談や依頼をするまでは一切費用は発生しません。

そのため、ランニングコストという面では、顧問弁護士の方が負担は大きいでしょう。

ただし、実際にトラブルの対応を依頼することになった場合には、顧問弁護士であれば、顧問契約に基づく割引を受けられるケースが多いです。

3-2.弁護士に相談・依頼する手間

顧問弁護士であれば、いつでも気軽に相談することができ、面談相談だけでなく電話やメール相談にも対応してもらうことができます。

これに対して、単発契約の弁護士は、まずは法律相談をしなければ依頼をすることができません。法律相談をする場合にも基本的には面談相談あるいはオンラインでの相談しか受け付けておらず、事前に予約をする必要があります。多忙な弁護士だと、法律相談の予約をするのもかなり先の日程になってしまうことも珍しくありません。

このように、弁護士に相談・依頼する手間という面では、圧倒的に顧問弁護士の方が有利といえます。迅速な経営判断が必要な企業においては、顧問弁護士が必要といえるでしょう。

3-3.相談の実効性

顧問弁護士であれば、企業の実情をよく理解していますので、相談があった際もいち早く事情を把握してトラブル解決に向けて動いてくれます。

これに対して、単発契約の弁護士は、当該企業の経営方針や今までの経緯などを把握していませんので、一から事情を話さなければなりません。複雑な事案だと1回の相談だけでは理解してもらうことができず、複数回の法律相談が必要になるケースもあります。

これでは、トラブルが発生しても対応が遅れて、問題が深刻化するリスクがあります。

3-4.トラブルの予防

顧問弁護士は継続的な依頼になりますので、個別案件への対応だけでなく、再発防止策トラブルの予防などのアドバイスや対応をしてもらうことができます。

これに対して単発契約の弁護士は、個別案件の解決を目的としていますので、紛争が解決した時点で業務が終了します。そのため、トラブルの予防に関するアドバイスや対応をしてもらうことはできないケースもあります。

4.顧問弁護士と単発契約の弁護士のどちらを利用すべきか

上記のような顧問弁護士と単発契約の弁護士との違いを踏まえて、以下では、どちらの弁護士を利用すべきかについて説明します。

4-1.顧問弁護士に依頼すべきケース

顧問弁護士に依頼すべきケースとしては、以下のケースが挙げられます。

  • いつでも気軽に相談できる環境が欲しい
  • 個別事案の対応だけでなくトラブルの予防に向けたアドバイスが欲しい
  • 顧問弁護士がいることを外部に示すことで会社の信用性を高めたい
  • 法務部を設置するコストを削減したい

4-3.単発契約の弁護士に依頼すべきケース

単発契約の弁護士に依頼すべきケースとしては、以下のケースが挙げられます。

  • 日常的な法律相談がほとんどなく、法的トラブルとは無縁
  • 顧問弁護士に支払う顧問料などの定期的な出費を抑えたい
  • 企業内に法務部があり、十分に機能している

5.まとめ

顧問弁護士は、企業のかかりつけ医としてさまざまな役割を果たすことができます。
企業によっては、単発契約で依頼するよりも、顧問弁護士を利用した方が大きなメリットがありますので、この機会に顧問弁護士の利用を検討すると良いかもしれません。

あたらし法律事務所では企業法務の業務も承っており、中小企業の経営者・役員の皆様に向けて、種々の法律的な問題に対する解決を図ります。

運輸業、電気部品・健康器具等のメーカー、コンサート運営会社、健康保険組合、IT系企業等、幅広い業種から顧問弁護士としての業務をお引き受けしておりますので、顧問弁護士をお考えの方はぜひ一度ご相談ください。

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