取引先が代金を支払わないときは?未払い金の回収方法
「取引先から売掛金の支払いがない」、長期間滞納となっている未収金がある」など、取引先からの債権回収でお悩みの経営者の…[続きを読む]
東京弁護士会所属、千代田区の弁護士事務所。法律相談を承ります。
債権回収を行うために訴訟を提起して勝訴判決を得たとしても、相手から必ずお金の支払いを受けられるわけではありません。裁判をしても任意に支払わない相手に対しては、「強制執行」の手続きが必要になります。
しかし、強制執行にあたっては相手の財産を特定して行わなければなりません。相手の財産を把握していないと骨折り損になるケースも少なくないのです。
このような場合に有効になるのが「財産開示手続」という制度です。財産開示手続きは近年の法改正により従来よりも使いやすくなりましたので、積極的な利用を検討しましょう。
今回は、財産開示手続の流れと債務者に無視された時の対応について解説します。
なお、代金をなかなか払わない取引先への対応方法は、以下のコラムをご覧ください。
目次
早速ですが、財産開示手続とはどのような制度なのでしょうか。
財産開示手続とは、債務者を裁判所に呼び出して、債務者本人に自分の財産についての情報を陳述させる制度です。
強制執行にあたっては、債権者において債務者の財産を特定して行わなければなりません。債務者の財産を把握していない債権者は、苦労して裁判で勝ったとしても財産の特定ができず差し押さえができないケースも少なくありませんでした。
以前から財産開示手続という制度はありましたが、実効性の乏しい制度であったため、財産開示手続の申し立てをしても無視されてしまい、財産の特定ができないこともありました。
しかし、2020年に施行された改正民事執行法により、財産開示手続は実効性のある制度になりました。
法改正前の財産開示手続では、財産開示手続を無視した場合には30万円以下の過料が科されていました。しかし、過料は行政罰であり刑事罰とは異なるため、「財産を差し押さえられるくらいなら、過料を支払ったほうがよい」という考えから、財産開示手続を無視する債務者が少なくありませんでした。
しかし、法改正により、財産開示手続を無視した場合の罰則が6か月以下の懲役または50万円以下の罰金になりました。以前の制度に比べて厳罰化が図られたことから、債務者としても財産開示を無視しづらい状況となったのです。
財産開示手続を利用するためには、以下のようなものが必要になります。
なお、法改正前は、公正証書、仮執行宣言付判決、仮執行宣言付支払督促については、財産開示の対象となる債務名義には含まれていませんでした。改正民事執行法によりこれらの文書も債務名義に含まれることになり、より利用しやすい制度になりました。
送達証明書とは、債務名義が債務者に送達されたことを証明する文書です。また、確定証明書とは、確定しなければ効力を生じない債務名義を利用する際に必要になる文書です。
債権者および債務者が法人である場合には、資格証明書として法務局発行の登記事項証明書が必要になります。
債務者の債務名義上の住所が変更になった場合には、住民票などの書類が必要になります。
債務名義に基づいて財産開示手続を利用するためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があるほか、申立の日前3年以内に財産開示期日においてその財産を開示したものではないことが必要になります。
なお、後者の要件を疎明するためには、「財産調査結果報告書」という書類を提出する必要があります。
財産開示手続を利用する場合には、必要書類をそろえた後で、債務者の住所地を管轄する地方裁判所に財産開示手続の申立てを行います。
裁判所は、財産開示手続を実施する要件が満たされているかの審査を行い、要件を満たしている場合には、財産開示手続実施決定を行います。
財産開示手続実施決定が確定後、裁判所は、財産開示期日の指定を行い、債務者に対して期日呼出状と財産目録提出期限通知書が送られます。
財産開示期日は、非公開の手続きで行われます。債務者は、指定された期日に裁判所に出頭し、自身の財産について陳述する必要があります。
債権者も裁判所の許可を得て、債務者の財産状況を明らかにするための質問をすることができます。
なお、債務者が財産開示期日に出頭しない、または出頭しても虚偽の陳述をした場合には、刑事罰が科される可能性があります。
財産開示手続や債権回収をお考えの方は、弁護士に相談することをおすすめします。
債権回収をする際には、まずは裁判外の交渉によりお金の支払いを求めていきます。
債権者個人での対応だと、債務者も真剣に取り合わず、無視されたり上手くかわされたりしてしまうケースもありますが、弁護士が窓口になって対応することで債務者も応じてくれる可能性が高くなります。
任意の交渉で解決することができれば、時間も費用も節約することができます。ご自身での対応では債権回収が困難な場合には、まずは弁護士に相談してみると良いでしょう。
民事執行法の改正により、財産開示手続が利用しやすくなっただけでなく、第三者からの情報取得手続きが新設されました。
第三者からの情報取得手続きとは、債務者の不動産、給与、預貯金、株式などに関する情報を保有する第三者から情報提供を受けることができる手続きです。
財産開示手続の罰則が強化されたとはいえ、それでも無視する債務者もいます。そのような場合には、債務者本人ではなく第三者から財産に関する情報を取得することで、債務者の財産の特定が可能になります。
このように、債務者の財産が不明な場合にはさまざまな制度を利用して特定していくことになりますが、弁護士であれば状況に応じた適切な方法を選択し、実行することができます。
たとえば、債務者の財産に不動産が含まれれば、強制競売により不動産を強制的に売却して債権回収を実現することができます。
債務名義を取得していない場合には、債務者に対して訴訟を提起するなどしてまずは債務名義を取得しなければなりません。債務名義を取得しても任意に支払いがなされない場合には、強制執行の申立てが必要になります。
場合によっては、訴訟の提起、強制執行という時間のかかる手続きに先立ち、債務者の財産を仮に差し押さえることにより債務者が財産を勝手に処分できないようにする「仮差押」の手続きも必要でしょう。
このような裁判や強制執行の手続きは、非常に複雑かつ専門的な手続きになりますので、法的知識がなければ適切に対応することが難しいといえます。
弁護士であれば、より確実に対応することができますので、まずはご相談ください。
改正民事執行法が2020年に施行されたことにより、財産開示手続の罰則が強化され、より実効性のある手続きになりました。
また、開示義務のある債務者が財産開示に応じない場合には、新たに導入された第三者から情報取得手続きを利用することで、強制執行に必要な財産に関する情報が得られる可能性があります。
債務者の財産が特定できずお困りの方は、弁護士が財産の特定や強制執行の手続きをサポートいたしますので、あたらし法律事務所にどうぞご相談ください。
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