1. 遺言書の作成が必要な方とは・・・
法律で定められた配分方法と異なった分け方をしようとする場合には、 遺言書を作成しておく必要があります。
例えば、このような事をお考えではありませんか?
- 子供がおらず、兄弟がいるが、長年お世話になった妻に多く遺産を配分したい。
- 土地と預貯金を持っているが、長男には土地と預貯金の半分を、次男には預貯金の半分を配分するなど、法定相続分とは異なった配分方法にしたい。
- 遺留分に配慮した遺産分割協議書を作成し、後日の無用な紛争を防止したい。
- 相続人ではないのだが、お世話になった人がいるので、その人に財産を譲り渡したい。
- 会社を経営しており、会社の株式が財産の内かなりの割合を占めるが、相続人の内1名に会社の株式を承継させて円滑に事業承継させたい(当事務所の「事業承継・会社継承」の頁・遺留分と事業承継対策のコラムもあわせてご覧ください)。
遺言書を作成しておかないと、原則としては、法定相続分に従って遺産の配分が行われることになります。
2. 遺言書の種類及び注意
自筆証書遺言は、遺言する人が全文を自署し、日付を記入の上、氏名を自署し、捺印する遺言です。
※平成30年の相続法改正(法務省のHP)により、ワープロ打ちの遺産目録が認められ、自筆証書遺言が作成しやすくなりました。
公正証書遺言は、遺言の内容を公証人の前で述べて、遺言を公正証書の形にする遺言です。
秘密証書遺言は、遺言の存在を知られたくない場合などに、公証人によって公証してもらう遺言です。
その他にも、死亡の危急に迫った方が遺言をする場合に用いられる危急時遺言などがあります。
それぞれの遺言書作成には、決まったルールがあり、そのルールに従わないと、せっかく作成した遺言が無効になる危険性もあります。
また、遺言を作成したものの、遺言の内容によっては、相続人間で遺留分侵害額請求などの紛争が発生することもあります。
当事務所は、お客様のご要望をよくお伺いし、よりよい遺言書の作成を提案していきます。遺言の作成を検討されている場合には、是非、ご相談下さい。
3. 遺言書もないし相続人もいないが遺産があってお困りの方へ
相続人が存在しない場合や、相続人全員が相続放棄をした場合、あるいは相続人が存在しないことが不明な場合、相続財産をどのように管理したらいいでしょうか?
このような場合、家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立をします。相続財産清算人は、相続財産を管理したり、亡くなった方の債権者に弁済したりする業務を行うのですが、相続人は、この相続財産清算人を選任することで、相続財産の管理義務の負担から免れることができます。
また、亡くなった方と特別な関係があったが、その方の相続人でない場合であっても、相続財産のうちから財産分与の請求をすることができる場合があります。 この場合にも、まずは、相続財産清算人選任申立をし、相続人の捜索をし、相続人が存在しないことが確定した後、特別縁故者に対する相続財産分与が必要になってきます。
特別縁故者には、亡くなった方と生計と同じくしていた内縁の妻や、亡くなった方の療養看護に努めていた方が代表例として挙げられますが、それだけに限定されるものではありません。
特別縁故者へ相続財産を分与する手続は、かなり複雑で時間を要しますので、弁護士に委任して手続を進めることをおすすめいたします。
※2019年7月1日施行の相続法の改正により、特別寄与料の支払い請求に関する制度もできました。特別縁故者の制度は、相続人がいない場合に限られますが、特別寄与者は、6親等内の血族・配偶者・3親等内の姻族が、相続人に対し、特別の寄与料を請求する制度です。
4.遺言書についてのよくある質問(FAQ)
遺言書に記載することで効力を発揮するのはどんなこと?
遺言に記載することで法的な効力を持つ事柄は、「遺言事項」と呼ばれており、民法などによって規定されています。数が多くここですべて取り上げるわけにはいきませんが、大別すると以下4つの種類があります。
- 相続に関する事項
相続分の指定、または指定の委託(民法902条1項)
5年を超えない期間での遺産分割の禁止(民法908条)
相続人の廃除、廃除の取消(民法893条、 894条2項)
特別受益持戻しの免除(民法903条3項)など - 財産の処分に関する事項
信託の設定(信託法2条、3条)
遺贈(民法964条、 986条~1003条)など - 身分に関する事項
婚姻外の子の認知(民法781条2項)
未成年後見人の指定(民法839条1項)など - 遺言執行に関する事項
遺言執行者の指定または指定の委託(民法1006条)
遺言書に遺言事項以外のことを書いても、法的な効力は生じません。しかし、だからといって書くことにより遺言書が無効になるわけではありません。
遺言書は、遺言者から遺された家族へのメッセージです。法的な効力を生じさせることを直接の目的としない記載事項を「付言事項」といいますが、ご自分の想いを記すことで、相続争いを回避し、円満な相続に繋がった事例もあります。
遺言書の作成を弁護士に相談するメリットは?
遺言書は、相続の争いを回避するためにも重要な役割を担います。
しかし、ご自分で自書する自筆証書遺言でさえ、法律上のルールが厳格に定められており、外れると無効になってしまう可能性があります。
また、兄弟姉妹以外の相続人には、最低限の遺産の取得分である「遺留分」が認められており、遺言書であっても侵害することができず、遺留分を侵害した遺言書を遺してしまうと、却って相続が争いになる火種を遺すことになりかねません。
法律のプロである弁護士に遺言書作成のサポートを依頼すれば、こうした事態を回避して、円満な相続に繋げることが可能になります。
また、相続に強い弁護士に相談すれば、遺言書の付言事項にも適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
5. 当事務所での解決事例
6. 遺言書の作成等の弁護士費用のめやす