顧問弁護士の必要性を漠然と感じているものの、顧問弁護士を利用することによってどのようなメリットがあるかわからず、利用を躊躇しているという企業様も少なくないでしょう。
顧問弁護士を利用する際には、顧問弁護士を持つメリットをしっかりと把握しておくことによって、ミスマッチを防ぐことができます。
今回は、企業が顧問弁護士を持つ6つのメリットについて解説します。
目次
1.顧問弁護士とは
顧問弁護士とは、顧問契約をした企業のために、法律上のアドバイスおよびサポートを継続して提供する弁護士のことをいいます。
弁護士というと法律問題やトラブルが生じた場合に依頼するものだと考える方も多いですが、顧問弁護士は、このような単発のスポット契約とは異なり、一定期間継続的な法的サポートを提供するという特徴があります。
企業が活動するにあたっては、どのようなビジネスであっても契約や取引が発生しますので、契約上のトラブルが生じるリスクがあります。また、従業員を雇う場合には労働契約上のトラブルが生じる可能性もあります。
このように、企業活動には法的観点からのサポートが必要不可欠となりますが、そのようなサポートを継続的に行うのが顧問弁護士です。
2.顧問弁護士を持つメリット
次に、顧問弁護士を持つ主なメリットを紹介します。
2-1.都度弁護士を探さずともすぐに相談できる
一般的なスポット契約の弁護士の場合には、トラブルが生じた時点で弁護士を探して、面談相談のための予約をとらなければなりません。
多忙な弁護士だと、相談をするのが何週間も先になってしまい、問題が深刻化してしまうおそれもあります。
顧問弁護士であれば、その都度弁護士を探す手間がありませんので、トラブルが発生した場合にはすぐに対応してもらうことができます。気軽に相談をすることができるというのも顧問弁護士のメリットです。
2-2.スピーディに対応してもらえる
企業経営では、どれだけ気を付けていたとしてもトラブルの発生を完全に抑えることはできません。
取引先からの債権回収、従業員との労働問題、顧客からのクレーム対応・損害賠償請求などのトラブルが発生した場合には、迅速な初動対応がその後の結果を左右するといっても過言ではありません。初動対応を誤ってしまうと、問題が深刻化してしまい、会社の利益を大きく損なうリスクが生じてしまいます。
顧問弁護士であれば、顧問契約をしている企業の問題に優先的に対応してくれますし、企業の実情や経営方針などを熟知していますので、迅速かつ適切な対応が期待できるといえます。
2-3.トラブルの未然防止・早期解決が可能
顧問弁護士を利用するメリットには、トラブルの未然防止という点も挙げられます。
何らかのトラブルが生じた場合、弁護士に依頼をすることによって被害を最小限に抑えることはできるものの、被害自体をゼロにすることは難しいでしょう。
企業が安定的に発展を続けていくためには、予想できるトラブルをできる限り回避することが重要となります。顧問弁護士がいれば、日常的に気軽に相談をすることが可能ですので、想定される法的リスクや問題点を指摘してもらうことができ、法的トラブルを未然に防止することが可能となります。
2-4.幅広いアドバイスに対応可能
弁護士は法律の専門家ですので、従業員との労働問題、取引先からの債権回収、契約書のリーガルチェック、顧客からのクレーム対応、事業承継、コンプライアンス、不動産取引などさまざまな分野に対応することができます。
幅広い視点からアドバイスをもらうことができますので、企業の安定的な発展に役立つといえるでしょう。
2-5.自分では気付かない問題点の指摘を受けられる
企業の経営者は、取引の当事者ですので、客観的な視点で物事を判断することが難しい立場にあります。
しかし、顧問弁護士は、客観的な視点で物事を判断することができますので、契約や取引に潜む法的リスクを早期に発見し、リスクが現実化することを予防することができます。
新規事業を始める際にも、経営者が気付くことができないような法的リスクや問題点を指摘してもらうことができますので、スムーズにビジネスを始めることができるでしょう。
2-6.法改正などの新しい情報を得られる
法律は、毎年のように改正がなされるものもありますので、自社が関係する分野の法律については、改正点をしっかりと押さえておくことが重要となります。
しかし、法律の規定は非常に複雑なものとなっていますので、法改正があったとしても、どのような点が変更になったのか、変更後にどのような点に気を付けなければならないのかを正確に理解することは難しいといえます。
顧問弁護士がいれば、顧問先の企業が関係する法改正情報についてわかりやすく説明をしてもらうことができます。
企業内研修の講師として顧問弁護士を招くこともできますので、法改正の内容を社員に周知させることも可能となります。
3.顧問弁護士にデメリットはある?
顧問弁護士を利用する際に気になるのが、顧問弁護士を利用するコストです。上記のようなメリットがあることは理解しているものの、費用面がネックになって顧問弁護士の採用を見送っているという企業も少なくないでしょう。
たしかに、顧問弁護士を利用する場合には、毎月一定の顧問料を支払わなければなりませんので、金銭的な負担は避けることはできません。
しかし、企業内に法律に関する問題を取り扱う法務部を設置する場合には、人件費がかかります。法務部の正社員を1人雇うのに比べれば、顧問弁護士を利用するコストは非常に安価なものといえます。
また、顧問弁護士を利用することによって、トラブルを未然に防ぐことが可能になりますので、トラブル対応に要するコストを削減することができます。
トータルで見れば顧問弁護士を利用する費用が企業にとって大きな負担になることは少ないといえるでしょう。
顧問弁護士を利用する上記のメリットを踏まえれば、顧問弁護士を利用するデメリットはほとんどないといえます。
4.顧問弁護士についてよくある質問
顧問弁護士がいないとどうなるの?
顧問弁護士がいないリスクを、労務問題を例に考えてみましょう。
従業員とのトラブルがあった場合でも、昨今では弁護士が増えたため、従業員も気軽に相談することができます。弁護士を代理人として交渉をされた際に、法律に疎い会社側の人間だけでは対応は不可能でしょう。また、業務のほかにその問題に割く時間も無駄になってしまいます。
古いデータで恐縮ですが、2006年の中小企業の弁護士ニーズ全国調査報告書によると、弁護士以外の法的課題の相談相手は、税理士がトップで56.6%、次いで社会保険労務士が31.0%です。しかし、税理士は税務が、社会保険労務士は労働や社会保険が専門です。残念ながら、税理士や社会保険労務士ではこうした問題には対処できないでしょう。「餅は餅屋」と言いますが、やはり法律問題は、弁護士に相談することをお勧めします。
中小企業でも顧問弁護士の必要性ってあるの?
顧問弁護士の必要性は、企業の大きさにかかわりありません。
中小企業で法的なトラブルに巻き込まれた場合を考えると、売上や従業員数も大企業より少ないため、却ってダメージが大きく経営状態が急激に悪化してしまう可能性さえあります。
さらに、コンプライアンスが浸透した社会では、企業規模にかかわらず、コンプライアンスの強化を迫られます。
これらのことからも、中小企業こそ顧問弁護士を利用すべき理由がお分かりいただけると思います。
顧問弁護士の費用相場はいくらくらい?
こちらもちょっと古いデータですが、日本弁護士連合会が2009年に全国2000人余りの弁護士を対象に行った中小企業のための弁護士報酬アンケート調査によると、月額の顧問料5万円が52.7%と一番多く、次いで3万円が33.5%となっています。
ちなみに、当事務所の顧問料については、弁護士費用のページでご確認いただけます。
前述した通り、法務部の正社員を1人雇うのに比べれば、顧問弁護士を利用するコストは非常に安価なものであることが、文字通りお分かりいただけると思います。
顧問弁護士の探し方は?
まず、知り合いの経営者や税理士に良い弁護士がいれば紹介してもらう方法があります。弁護士会に紹介してもらう方法もあります。また、このサイトをご覧になっている方のように、ネット上で弁護士紹介サイトなどを利用する方法も考えられます。
顧問弁護士を選ぶ際には、次のポイントを念頭に置いておくといいでしょう。
- 柔軟・迅速に対応してもらえるか
- 自分の企業が属する業界や行っている事業に理解があるか
- 説明が分かりやすいか
- 費用が明朗か
- 最終的に任せたいと思えるか
5.まとめ
企業として活動する中では、取引先とのトラブル、従業員との労働問題、顧客からのクレームなどさまざまな法的問題に直面することになります。
このような問題が生じた際に、いつでも気軽に相談をすることができる顧問弁護士がいれば、企業にとってはとても心強いことでしょう。
顧問弁護士をうまく活用することによって、企業にとっても大きなメリットとなりますので、顧問弁護士の利用を積極的に検討することをおすすめします。是非一度、あたらし法律事務所へのご相談・ご依頼をご検討ください。